今日も、新人司法書士事務所補助者(スタッフ)向けの記事です。
ボスから「設定書類を受取ってきて!」と言われました。
さあ、どうしましょう?
事務所によって細かな所は違うと思いますが、大体の流れはこんな感じです。
この記事では、住宅ローンを組んで住宅を購入する不動産取引(「決済」といわれます。)の事案を想定しています。
設定書類とは
司法書士や銀行員が言う、設定書類とは抵当権や根抵当権の設定登記に必要な書類たちのことを言います。
受取の手順
不動産業者に連絡
不動産業者さんに連絡して、設定銀行の担当、連絡先、金消(金銭消費貸借契約の略)の予定日を聞きます。
決済場所が銀行の支店でも、設定書類の受領は住宅ローンセンターということも多々あります。
住宅ローンを組む銀行に連絡
不動産業者さんから聞いた住宅ローンを組む銀行に電話して、金消契約が終わった後に設定書類を受取に行く旨伝えて、日程を調整しましょう。
事前に物件打ち込み(白紙の抵当権設定契約書に不動産の表示を印刷すること)を依頼されることもあります。
事前打ち込みが必要な場合は、設定契約書の用紙を預りに行って、打ち込んで、返却して、調印後の書類をまた預りに行くことになり、補助者が大活躍できます。
住宅ローンを組む銀行に書類を受け取りに行く
銀行では
①書類が揃っているか
②内容に間違いないか
を確認します。
抹消確認と違って、書類を持って帰れるので、気分はずいぶん楽でしょう。
設定契約書・登記原因証明情報
不動産の表示
不動産の表示は空白のことが多いですが、銀行さんが打ち込んでいるときは、登記事項証明書と見比べて誤りがないかチェックしましょう。
物件漏れがないか確認しましょう。
共有道路が抜けていたりすることがたまにあります。
空白の場合は、抵当権を設定する物件を銀行の担当さんに確認します。
たまに、購入物件だけでは担保が足らず、親の不動産の共同担保を設定することがあります。
債権額
不動産業者さんから聞いていた債権額と違いがないか確認します。
異なる場合は、登録免許税の金額が変わるので事前に不動産業者さんに提出している見積もりに訂正が必要になります。
事務所に戻ったらすぐにボスに伝えましょう。
印鑑証明書
有効期限(登記申請時に3ヶ月以内)を確認しましょう。
住民票
原本還付して銀行に返却が必要か確認しましょう。
委任状
印鑑証明書と印鑑照合し、住所、氏名にも記載に間違いがないか確認しましょう。
銀行を去る前に
受領印を押す
受領簿などに受領印を押します。
押し忘れて帰ろうとすると、銀行の担当さんが追いかけてきますよ。
押し忘れて事務所に帰ってしまうと、事務所に電話がかかってきて、受領印を押すだけのために再度銀行に行くはめになります。
受領書のFAX先、決済日時、場所を確認する
決済後、登記申請が終わったら、登記申請受領書を銀行にFAX送信することが多いですが、受付番号の電話連絡だけでよい銀行もあります。
どの方法で、どこにFAX(電話連絡)するのか、念の為確認しましょう。
受領書は指示されなくてもFAXするのが当然のようになっているので、FAXをし忘れると銀行さんからひどくお叱りを受けることでしょう。
決済日時、決済場所は念のため銀行さんにも確認しておきましょう。
書類を漏れなく受け取って帰る
書類は全て受け取って帰りましょう。
テーブルに書類を置き忘れて帰るなど言語同断です。
何をしに来たのかわかりません。
おわりに
設定書類の受領は補助者によって実力の差が表れる仕事です。
- ただ受取るだけの補助者→「子供の使い」
- 確認すべき点を確認し、ミスを未然に防ぐ補助者→ボスの信頼を得て重用されていきます。
それでは補助者のみなさん、辛い修行の時期を精神を病むことなく乗り切って下さいね。
おしまい。