不動産を売ろうとしたときに、何年も前に完済したはずの住宅ローンの抵当権が登記簿に残っている時があります。
お客様に完済したときのことを尋ねてみると
「うーん、完済したんだけどなあ。」
「書類も受取ったなあ。」
「あれって、銀行が消してくれたんじゃないの?」
という答えが返ってきます。
受取った書類を探してもらうのですが見つからないことも多いです。
見つからなかった場合、次の手順で抹消します。
銀行に電話する
まず、住宅ローンを借りていた銀行に電話します。
お客様本人からお電話していただくのがスムーズです。
抵当権抹消用の書類を紛失したことを伝えて、再発行を依頼して下さい。
完済したことが確認できれば、銀行は抵当権者である保証会社に連絡を取り、書類の再発行の手続きを取ってくれるはずです。
再発行された書類を受領する
1~2週間程度で銀行に再発行された書類が届くので、銀行から指示された印鑑などを持って銀行に行き、書類を受領します。
こちらもご本人が来店されるのがスムーズです。
銀行から受け取るのは通常、次の書類です。
・解除証書(登記原因証明情報)
・保証会社の印鑑証明書
・保証会社の代表者事項証明書(会社履歴事項証明書) 会社法人等番号を登記申請書に記載することにより提出を省略できるようになりました。
・保証会社の委任状
※登記済設定契約証書や登記識別情報は再発行されません。
登記を申請する
それら書類一式を依頼する司法書士に渡し、委任状に署名、押印します。
(ご自身で手続きをされたい方は、対象不動産を管轄する法務局の登記相談窓口へ。)
司法書士は登記申請書を作成して、管轄の法務局に登記を申請します。
法務局は事前通知を行う
法務局は申請書と添付書類を調査して、抵当権者である保証会社へ『事前通知』を送付します。
『事前通知』とは、ざっくり言うと、「こんな登記が申請されてますが、本当ですか?本当なら委任状に押したのと同じ判子を押して返送か持参して下さいね。」という内容が書かれた通知です。
抵当権者より事前通知の返送があると、法務局は印鑑照合をして問題なければ、登記簿の抵当権を抹消します。
スケジュール管理に注意
手続き自体は難しくないのですが、不動産売却の決済が控えている場合にはスケジュール管理に気をつけて下さい。
銀行の書類再発行に約1~2週間+書類の受領1日+登記申請1日+法務局での手続(事前通知の発送、抵当権者の押印、返送含む)に約2週間、合計4週間くらいが銀行に書類の再発行を依頼してから登記完了までの標準的なスケジュールでしょうか。
※法務局の混み具合、銀行や保証会社での処理時間により前後しますので、あくまで目安です。
スケジュールがタイトな時は、依頼を受けた司法書士は、法務局、銀行、保証会社へ進捗の確認をしなければならず、多大な労力を費やすことになります。
抹消書類紛失あるある
ようやく登記が終わったころに、お客様から
「書類が出てきたよ。ははは。」
という連絡をもらうことも。。。
おわりに
住宅ローンを完済したら、必ず登記簿の抵当権も抹消しておきましょう。
ご自身でやれば印紙代の数千円です。
司法書士に依頼しても数万円です。
今まで銀行に支払った利息と比較すれば微々たる金額ではないでしょうか?
登記を抹消するまでが住宅ローンの返済です。
(「おうちに帰るまでが遠足です」みたく言ってみた。)
おしまい。