売主さんは実印以外に、権利証書を決済に持参する必要があります。
この権利証書についてのトラブルにはこんなのがあります。
1 登記簿謄本が権利証書だと信じている
登記簿謄本(登記事項証明書)を「これが権利証書です。」とお持ちになるケースがあります。
私たちは、目が点になります。
権利証書はこの世に一つしかなく、所有者だけが持っているものです。
一方、登記簿謄本は誰でも取得できます。手数料さえ払えば何通でも取得できます。
全くの別物です。
うちの母も登記簿謄本と権利証書を混同していました。
私は若かりし頃、司法書士と図書館司書を混同していたので、偉そうなことは言えません。。。
2 住所変更登記の登記済証を権利証書だと信じている
住所変更の登記を担当した事務所さんが立派な表紙をつけてくれているので、間違ったんだと思われます。
表紙に「所有権登記名義人表示変更登記済証」などと書かれています。
所有権の権利証書と住所変更の登記済証の重要度は天と地ほどの差があります。
「紛らわしいことはやめようよ。」
と住所変更登記を担当された先輩司法書士に言いたい気持ちは自分の中で消化しておきます。
3 前所有者の権利証書を持参する
亡くなったお父様の権利証書や購入した当時の売主さんの権利証書(業界用語で「旧権(きゅうけん・旧の権利証書)とか空権(からけん・権利が空になった権利証書)」といいます)をお持ちくださるケースがあります。
昔は、売主さんの権利証書を買主さんへ新しい権利証書と一緒に渡していたことがあるようです。
決済に必要なのは、売主さん本人の権利証書です。
他人の権利証書で登記はできません。
4 権利証書が足りない
たとえば、当初ご主人と持分2分の1ずつで購入していて、その後ご主人が亡くなったため、相続でご主人の2分の1の持分を取得していケースがあります。
この場合、必要なのは
①ご主人と一緒に購入したときに発行された権利証書
②ご主人から相続したときに発行された権利証書
の2通です。
片一方しか持ってきていないケースがあります。
権利証書が複数あるときは、一緒に保管しておくことが大事です。
複数回にわかれて持分を取得するときには、相続登記を依頼する事務所に「新しい権利証書(識別情報)ができたら、古い権利証書と一緒に綴じておいてください。」とお願いしておくのがおすすめです。
さて、上記のようなトラブルが発生した場合、決済はどうなるのでしょうか?
ドキドキしてきましたね。
長くなってきたので、続きは次回にします。